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Ars Electronica Festivail 2009 [h.o works & projects]

今年のフェスティバルに参加していただいた皆様、お疲れ様でした。
早いもので、リンツに引っ越してから3度目のフェス。

Human Natureというテーマのもと、30周年を迎えるArs Elecctronica Festivalは、期間中、72500人が来場する大規模なものに。

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(中央広場のJapan Media Art Festival、そしてDevice Art展の準備風景。)

そんな2009年フェスティバルですが、Geminoidをはじめ日本周りのプロジェクトを主に担当。2008年に比べて、明らかにエナジーが各方面に分散してしまい、ちょっと反省。

ここでは、自分が担当した2つのプロジェクトの紹介です。

Geminoidプロジェクトでは、展示デザインを担当。



Geminoidは、普通に見せてしまうと、本質的な探究が一般来場者に間違われてしまう場合があります。遠隔操作し、ある意味、人に乗り移って、見知らぬ人としゃべったり、身近なひととしゃべったり。僕らは、人の何を信じて生きているのだろう、ということを突然体験できるような仕掛けを作ろうと努力しました。

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Geminoidを、コントロール可能なインタフェースをデザイン。
自動的に顔の表情を解析し、リアルタイムに表情をコピーします。

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操作してみると、ある意味自分が幽体離脱したような不思議な感覚。様々な議論が会場で生まれ、とても有意義な時間をすごせました。

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面白かったのは、この議論がAECだけでなく、リンツ中に広まっていたこと。

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石黒教授と夕飯に行けば、そこでは多くの人が気づいて、あれは、ロボットか、それとも人か?という議論が発生。

そういう意味で、Human Natureとしていい仕事ができたのではと思います。

ブルックナーハウスでは、h.oとして、電通とのコラボレーション、Buzz Bubblesを発表。

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去年のプロジェクトがSlogan Generatorだとしたら、今年はBuzz Generatorがコンセプト。
カタログを販売をする特設本屋さんを設計。この本屋さんでは、口コミが降ってきます。

Ars Electronica Webへアクセス履歴や、Twitterの情報から、カタログに関するBuzzを作成。
コンセプト・仕組みはちょい固めですが、次の感じです。

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情報技術の発達によって、人を取り巻く環境、人の行動、そしてマーケットのあり方は変化している。Googleに代表されるような情報獲得技術は、人と物との効率的な出会いを提供したかのように見える。飾り立てられた広告などの情報に頼らず、能動的な検索という手法により、自分の欲しい情報や物だけを直接手に入れることができるからだ。しかし、この一見効率のよい情報獲得技術は、人々から「意外な物との出会い」を奪ってしまった。人は自分の興味ある情報の渦から抜けられず、従来の広告が提供していた「もともと興味はなかったが、偶然見かけて気になって、つい買ってしまった」というような発見・出会いが起きなくなってしまった。

そこで、今回のプロジェクトでは、2009年のフェスティバルカタログをターゲットとし、今まで関心のなかったアーティストや作品への興味を起こさせ、カタログを手に取りたいと思わせる新しい広告のプロトタイプを制作する。
アルスエレクトロニカのフェスティバルカタログは、期間中に展示するアーティスト、作品、プロジェクト、会議、パフォーマンスなど全ての情報をページ単位で編集したものである。このフィジカルなカタログと、インターネットという仮想空間Cloudでの人々の営みを結びつけると、何が起こるだろうか。

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我々は、アルスエレクトロニカWEBサイトにおける人々の行動や関心を元に「Buzz」を抽出・生成するシステムを設計し、そのBuzzをフェスティバルカタログの各ページの情報と結びつけ、フィジカルな出力に変換。インスタレーションでは、Webサイトへのアクセスがあるたびに、そのBuzzがブックショップに出力されていく。

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 「p.52は夜中にこっそり見られている」
 「p.184が好きな人は失恋しやすい」
 「犬好きの人はp.356を見ない方がいい」

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(期間中この口コミマークが大量にプリントされる仕組み)

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(空から口コミマークが降って来る)

さらにこのアイデアをベースに、フェスティバルカタログを販売促進するリアルタイム生成しおりやペーパーバッグもデザインする。このインスタレーションを通じて、実際のカタログと個々のページへのクチコミがシンクロし、リアルタイムのアルスエレクトロニカの社会像を表現する。来場者は、人々によって生成されたクチコミという「広告」を持ち帰ることができる。この新しいお店の環境では、カタログはただのプロダクトではなく、新しい広告の媒体となる。情報獲得技術によって無機的に効率化され閉じてしまいがちな現在の広告システムに対して、かつて広告が持っていた有機的で物理的な出会いを作り出すのである。

Googleは、全ての書籍をデジタル化し検索可能にするという。その過程で「本」は解体されて、ページ情報というサインは意味をなくす。一方で、個々の情報との「出会い方」は、必ずしもオンライン検索だけでなく、フィジカルな現実空間を巻き込んでゆくだろう。このCloud的な視点とGround的な視点の両方を見たときに、いかに軽やかに「新しい出会い」を提供できるのか。その方法として有効なのはやはり「広告」であろう。邪魔者になってしまった従来の広告とは違う、人とプロダクトを繋ぐチャーミングな新しいコミュニケーションの形があるはずだ。そして、この新しい広告の形を探求することで、Human Natureの一つの方向性が見えてくると考える。
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その他、フェスティバルに関しては、↓など、色々記事があるようなので、是非どうぞ。
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/012/12062/
Geminoid Project in ..--> Tokyo ブログトップ

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